EtherCAT(イーサキャット)
EtherCATの概要
EtherCATは、Ethernetを使用した超高速を実現するための動作原理とノード間で高精度に同期する機能などモーション制御に最適なアーキテクチャをもち、シンプルな配線形態を特長としているオープンなネットワークです(表1)。
EtherCAT Technology Group(ETG)は、様々な産業界の主要なユーザー企業と主要なオートメーション企業がEtherCAT技術のサポート、プロモーション、発展を推進するために設置したフォーラムであり、コンフォーマンステストおよびその認証手順を規定することによって、EtherCAT実装の互換性を保つことを目的として活動しています。
表1 EtherCATの通信仕様
伝送種類 | 100BASE-TX |
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伝送速度 | 全二重100Mbps |
通信距離 | ノード間距離:100m以内 |
伝送ケーブル | STPケーブル カテゴリ5/5e |
トポロジ | スター、ライン、ツリー |
最大接続台数 | 65535 |
EtherCATでは、それぞれのノード宛にデータを送信するのではなく、各ノードがフレームを通過させ、その際に各々のノードでフレームに送信データを書込み、フレームから受信データを読出す方法によって、データ伝送の高速性とリアルタイム性を確保しています(図1)。
図1 EtherCATデータフレームの流れ
フレームを通過させる際の各ノードでの遅延は数nsに過ぎません。したがって、従来のリアルタイムEthernet通信と異なり、使用できる帯域は90%以上になります。
また、EtherCATは100BASE-TXの全二重通信を完全に利用しているため、100Mbpsを超える通信性能(2×100Mbpsの90%以上)が利用可能になります。EtherCATマスタは標準のEthernet Media Access Controller(MAC)を使用していて、ASICなど他の専用チップは必要ありません。したがってEtherCATマスタは、Ethernetインタフェースをもつコントローラ であれば、オペレーティングシステム、アプリケーション環境に依存せず、どんな機器でも実装可能です。EtherCATスレーブではデータの送受信処理を、EtherCAT Slave Controller(ESC)が高速で行っています。そのため、ネットワークパフォーマンスはスレーブのマイコンの性能に依存しません。スレーブのアプリケーションとESCはデュアルポートRAMで接続できます。