(株)エムジーカスタマセンター

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(1) 入力機器

■ 計器用変圧器VT(Voltage Transformer)
PT(Potential Transformer)とも呼ぶ

高電圧回路の電圧計測を行う場合に、絶縁を確保した110Vの電圧を得るために使用する変圧器。
一般に一次側過電圧や二次側短絡時(ショート)の保護としてヒューズが設けられている。

計器用変圧器VT(Voltage Transformer)
■ VT比(PT比)

VTの一次電圧を二次電圧で除した値。二次測定電圧から容易に一次電圧が分かる。

■ GPT(Grounding Potential Transformer) GVTとも呼ぶ

非接地系の三相電源回路で(配電線等)地絡(漏電)を検出するための専用VT。計器用変圧器としても使用可能なように二次側と三次側が設けられ、三次側にオープンデルタ接続を行うことで零相電圧が検出できる。地絡検出のため接続される計器には「高速応答」「最大値保持」等の機能が要求される。

■ V0(ブイゼロ)

零相電圧のこと。非接地系での地絡(漏電)検出に使用する信号。

■ I0(アイゼロ)

零相電流のこと。地絡(漏電)を検出する。V0との位相差を計測することで地絡地点を判定できるようになる。(方向地絡検出)

■ 計器用変流器(CT:Current Transformer)

大電流回路の電流計測を行う場合に、絶縁を確保した5A(1A)の電流信号を得るために使用する変圧器。一次側は測定または制御する電流通路と直列に接続する。また高電圧の電流を低電圧の電流に変成することも可能である。変流器ともいう。一次、二次とも鉄心に巻く巻線形と、一次を直線状導体として鉄心を貫通する貫通形がある。一次側に電流が流れている状態(活線状態)で二次側を開放すると、端子間には高電圧が発生し、絶縁破壊後焼損する可能性がある。よって、接続される機器には二次開放防止の機能が要求される。当社のプラグイン形トランスデューサでは二次側開放防止のためCTプロテクタが用意されている。

計器用変流器(CT:Current Transformer)
■ CT比

CTの一次電流を二次電流で除した値。二次測定電流から容易に一次電流が分かる。

■ ZCT(Zero Phase Current Transformer)

零相電流を検出する専用のCT。一次側の零相電流(漏電電流)が200mAで二次側に1.5mAの信号が得られる。通常の一次側電流は数百A~数kAと大きいため、200mAを検出するために電線位置を固定にして性能を向上させたものが多い。簡易に零相電流を測る場合には3CT方式でCTの二次側を直列接続で検出することも可能である。

■ VCT(Voltage and Current Transformer)

引込口付近に電力会社が設置する電力需給用計器用変圧変流器、取引計器用変成器。

■ シャント抵抗

大きな電流を小さな電圧に変換する抵抗器。CTの代わりに使用する。ただし、絶縁がないので注意する必要がある。フルスケール200mVが一般的。

■ 倍率器

電圧メータ用のVT。メーカの専用機器となっている場合が多い。

■ 合成変成比(電力比)

CT比とVT比をかけ算した値。二次電力値から容易に一次電力値が分かる。

(2) 入力波形

■ 実効値(rms)

直流回路の電圧、電流の動作と同じ結果となる交流電圧・電流の値のことを実効値という。

実効値(rms)

直流100V DC電源に100Wの電球を接続すると1Aの電流が流れる。この電球の明るさが同じになるように交流電圧を調整すると交流電圧は100Vとなる。この交流電圧値100V ACのことを実効値という。そのときに流れている電流値が実効値1A ACである。

■ 平均値

信号のプラス側(マイナス側)の面積と同じ面積の長方形の高さを平均値という。

平均値
■ 高調波

基本周波数の整数倍の周波数成分をもつ電圧、電流。JIS C 1111の規格では実効値演算方式は第3高調波15%での性能保証が要求される。(100%の50Hz成分に15%の150Hz成分を重畳する)

■ インバータ(Inverter)

・汎用インバータ
直流電力を交流電力に変換する装置。逆変換装置ともいう。整流装置と組み合わせると交流電源の周波数を任意の周波数に変換することができる。「高キャリアPWM制御方式」を採用しているメーカがほとんどで、インバータの一次、二次で電圧電流波形は大きく異なる。まず、一次側の電圧波形は電力系統そのままなので少し高調波が含まれている程度だが、電流波形はインバータの原理によっても違うがかなり高調波成分を含んだ波形となる。二次側の電圧は原理的にパルスの連続で高周波成分を多く含んだ波形となり、電流はモータのコイル成分により正弦波に近い形だがスパイクノイズを含んだ波形となる。

・太陽光インバータ(電力系統接続用機器)
直流を交流波形に変換しているインバータでは高調波成分もほとんどない波形である。

■ クレストファクタ

波形の実効値成分に対する最大ピーク値。サイン波形ではとなる。

■ 歪み率

波形の基本波成分に対する高調波成分の合計比率。

■ サイリスタ(Thyristor)

3つ以上のpn接合面をもち、ゲート電流によって大電流を制御する半導体素子。

サイリスタ(Thyristor)

・位相制御
交流波形の一部を制御して、ヒータ等の電力を調整する方法。高周波成分も含むため測定計器の性能差が大きく出る。

・サイクル制御
固定時間周期(1~2秒)で二次側に電力を供給する割合を制御する方式で、「電気炉」に主に使用されている。

■ ランプ関数

トランスの電源を急に切るとトランスに磁気が残る。次に電気を投入したとき、切れて止まっていた磁気との位相差により直流成分が発生する。
「交流回路(電源)には直流がない」と思いこんでいると間違いを起こす例。

(3) その他入力

■ 潮流

電力の流れは「電源」から「負荷」へ流れるのが一般。しかし、負荷が発電機などの場合には電力が逆に流れる場合がある。このような電力の流れが入れ替わることを「潮流」と呼び、従来は発電機の追加、削除を日常的に行う電力会社関連しかなかった。だいたい受電が(+)、送電が(-)で表現される。

■ 過電圧強度

電圧入力のある機器で、どの程度の過大入力に耐える(壊れない)かを数字で表した値。

■ 過電流強度

電流入力のある機器で、どの程度の過大入力に耐える(壊れない)かを数字で表した値。

■ 過電流定数

電流入力のある機器で、何倍の入力まで測ることができるかを表した値。CTに多い。

(4) 電源系統の種類

■ 単相2線式

一般的に100V ACを供給している系統。大電力を必要とする場合(大型ヒータ等)には三相3線式などの他の方式を用いることが多い。

■ 単相3線式(Single-Phase Three-Wire System)

対地電圧150V以下の電路において100Vおよび200V機器を使用できる配電方式。
配線の抵抗による電圧降下を考慮して変圧器には105V/210Vの出力が定格。

単相3線式
■ 三相3線式(Three-Phase Three-Wire System)

三相交流を3本の電線で配電する方式。Δ結線、Y結線、V結線の別がある。

・Δ結線(Delta Connection)

Δ結線(Delta Connection)

・Y結線(Y-Connection)
三相交流回路の起電力または負荷を図のようにY字形に結線すること。星形結線、スター結線(Star Connection)ともいう。各相の接続点を中性点といい、起電力の中性点と負荷の中性点とを結ぶ線を中性線という。

Y結線(Y-Connection)

・V結線(V-Connection)
Δ結線の起電力または負荷の1つを除いて図のようにV字形に結線すること。

V結線(V-Connection)
■ 三相4線式(Three-Phase Four-Wire System)

海外で多く使用されている系統。国内では特別高電圧系統に採用されている方式。簡単には単相電源が3つ集まった電源回路。

V結線(V-Connection)
■ 相電圧(Phase Voltage)

電線と接地線(ニュートラル線)との間の電圧。三相の場合には線間電圧をで除した値となる。

■ 線間電圧(Line Voltage)

電線と電線の間の電圧。

■ 三相平衡回路

三相の電圧の大きさが等しく、接続される負荷が全て等しい場合。負荷がモータのみの場合など。

■ 三相不平衡回路

三相の電圧の大きさが等しくない場合や負荷が等しくないような場合。負荷がモータの他に単相照明機器を使用しているような場合など。

(5) トランスデューサ

■ 交流電圧トランスデューサ

VTから得られた信号を計装用信号にする変換器。定格電圧で70%程度の信号が得られるようにし、系統過電圧でも計測可能なようにしておくため、200V系入力時にはフルスケール300Vを使用する。

■ 交流電流トランスデューサ

CTから得られた信号を計装用信号にする変換器。
VTと違い系統の電流値は設計可能なため入力5Aタイプではフルスケール5Aを使用する。プラグインタイプではCT保護用のCTプロテクタが添付される。

■ 補助電源不要トランスデューサ

入力信号から動作するためのエネルギーを得るトランスデューサ。補助電源を必要とするタイプでも入力信号が補助電源の仕様を満足する場合には入力を補助電源として使用可能。交流電圧、電流トランスデューサでは原理的に4~20mA出力は製作不可。

■ 電力トランスデューサ

電流と電圧から電力(有効電力)を演算して計装信号を出力する変換器。

■ 電力(有効電力)

実際仕事を行う電気量。単位:W(ワット)。0.75kWは1馬力(1hP)。

■ 電力量(積算用パルス)

単位時間当たりいくらの電力を使用したかを測定するための値。通常パルスに重みを付けて、このパルスをカウントすることで得られる。単位:Wh/pulse。電気料金の基本となる値。

■ 電力トランスデューサの入力レンジ

入力の電力を計装信号に割り当てる値。メータの最小と最大目盛りのこと。データとしてほしい値(一次側電力)を電力比で除した値。

■ 無効電力トランスデューサ

電流と電圧から無効電力を演算して計装信号を出力する変換器。

■ LEAD(リード)

ある基準位置から「進み」の意味。表現を±で表現している場合もあるが規定はない。

■ LAG(ラグ)

ある基準位置から「遅れ」の意味。

■ 無効電力

負荷に与えた皮相電力の内で有効電力として消費されなかった電力。単位:var(バール)

■ 皮相電力

電気機器に記載されている定格電流と定格電圧の単純積算値。機器の容量としての意味。単位:VA(ブイエー)

■ 電力の関係式

皮相電力(VA)、有効電力(P)と無効電力(Q)は次式の関係がある。
VA=
また、力率(COSφ)との関係は次式となる。
P=VA・COSφ

■ 補助CT、VT(PT)

VT、CTからの信号は電子回路にとって大きすぎるため、電子回路で処理しやすいレベルに変換する小形のVT、CT。普通は機器に内蔵されている。

■ 力率トランスデューサ

電流と電圧の位相差から力率を演算して計装信号を出力する変換器。動作原理の種類により、波形歪みの影響で演算結果が違う場合がある。

■ 力率

皮相電力をどの程度有効に電力として使用しているかの値。電圧と電流の位相差をφとすると次式で表される。
力率=COSφ

■ 位相弁別力率補正

力率トランスデューサの動作原理で、電圧と電流の位相差を測定して力率曲線と近似した関数に置き換えて力率信号を得る方式。

■ 位相角トランスデューサ

電圧と電流の位相差を演算して計装信号を出力する変換器。
動作的には力率トランスデューサと同じ。

■ 位相弁別

位相角トランスデューサの動作原理で、電圧信号パルスと電流信号パルスの波形から位相差を演算する方式。

■ 周波数トランスデューサ

入力電圧信号の周波数を演算して計装信号を出力する変換器。

■ 周波数

1秒間にサイン波形が何個入るかを表した値。日本では50Hz(関東)と60Hz(関西)の2種類がある。単位:Hz(ヘルツ)

■ 電圧位相角トランスデューサ

2つの電圧入力の位相差を演算して計装信号を出力する変換器。
自家発電機器と電力会社の一般電気とを接続するときに2つの位相を合わせてスイッチを投入する必要がある。

■ 電力マルチトランスデューサ

2種類以上の電気量を演算して計装信号を出力する変換器。
電源構造の関係で出力間は非絶縁が多い。

(6) その他

■ 概略消費VA

トランスデューサが入力として必要な皮相電力。VT/CTには定格負担として「VA」表現で規定されており、全体の負担が変成器に表示されているVA以下の必要がある。

■ 許容差

標準状態で許容される百分率誤差の限界値。ただし、種々の環境条件に合格できる値である必要がある。階級。

■ 温度の影響

23±10℃でその変動幅が許容差内の必要がある。±20℃では許容差の倍の値。

■ 周波数の影響

入力周波数が50Hzと60Hzのどちらでも使用可能なタイプでは、45~65Hzの範囲で出力変化幅が許容差内の必要がある。

■ 外部磁界の影響

電力関係のトランスデューサは大電流近くに設置される可能性が大きいため、400A/mの磁界に設置した場合にでも誤差が出ないように規定されている。出力変動は許容差内の必要がある。

■ 応答時間

一般の変換器は90%応答の時間が規定されているが、電力関係の場合には目標値の±1%になる時間で規定する

■ 出力リップル(リプル)

トランスデューサの出力に含まれる交流成分。入力が交流のため出力にも若干交流成分が発生してしまう。応答時間を早くすると大きくなってしまう。表現はピークツーピーク(p-p)で表す。

■ インパルス耐電圧

電力関係トランスデューサでは雷サージ対策も重要。±5kVのサージを入力しても破壊されないことが条件。

■ JIS C1111

日本産業規格の中の「交流及び直流入力トランスデューサ」を示す。

■ IEC 60688

JIS C1111の元となった国際規格。変換器の対環境性で3段階のレベルに分離している。

■ 電力規格

トランスデューサで要求されるこの規格は「B402」が対象の規格であり、その内容は継電器(リレー)について規定されている。対環境性の項目(無線機、過電流強度等)を満足する必要がある。

(7) 現在の環境

■ 高調波ガイドライン

パワーエレクトロニクス応用機器は省力化・自動化に必要不可欠な機器となっているが、この機器から発生する高調波電流が他の電気機器へ異音・振動・焼損等の影響を与える。そこで、通産省(現・経済産業省)は1994年9月30日より家電機器や高電圧機器からの高調波レベルを規定するガイドラインを定めた。

(8) 電気の知識

■ スケルトン(単相接続図)

三相回路全体を機器、接続とも単相のように記入された電気用接続図。機器の表現はJISで規定されている略語。

■ 継電器(リレー)

電気的故障を検出しブレーカに信号を出す機器。目的により数10種類がある。

■ PCT(MOF)またはVCT

電力会社が設置する電力量測定用のVT、CTが内蔵された機器。

■ AS

CTからの電流信号切換専用のスイッチ。CT二次開放しないで切換可能。

■ VS

VTからの電圧信号切換専用のスイッチ。VT二次短絡しないで切換可能。

■ CB

サーキットブレーカの略。100V用から数10万Vまで表現は同じ。

■ データロガー

アナログ信号や接点信号を集めて、時刻付データを記録できる装置。警報、最大値検出等の機能ももっている。

■ 日報・月報

1日や1月の測定データを報告するフォーム。
測定値の時間的な動きや警報動作時の測定値等を一般的には帳票の形で残す。人の代わりにデータロガーの役目になっている。

■ 置き針

従来のアナログメータで現場の「指示呼称」を行うため、平常時の値付近に目印を記入しておくこと。

■ 110V DC

電力機器をバックアップする補助電源。バックアップを必要とする機器は電力会社の規定で-20%、+30%を一時的に許容できる必要がある。

■ デマンド

取引用電気の需要電力。「デマンドを監視する」ことは電力会社との契約電力を超えないように単位時間当たりの電力量を計測し、警報動作を行うことと同意である。契約違反には罰金が課されるので500kWh以上の契約を結んでいる工場にはほとんど設置されている。

■ 力率改善

工場等にはモータ等「遅れ」成分を発生させる負荷が多い。よって、一般的にはコンデンサを示す。力率は電力会社の電気料金にも影響し、省エネ法でも規定されている。電力会社が扱うような大きな電力ではコンデンサ(進み)、コイル*1(遅れ)を総称して調相設備と呼ぶ。
*1 正式名称はリアクトル

■ フィーダ

基本となる電気配線からCBによって分岐された支線。高圧フィーダは1.1kV以上の配線、低圧フィーダは600V以下の動力、照明用の配線。

■ 回線

受電の名称。2回線受電とは、2つの別々の場所からの電気を供給してもらえるようにしたもの。一方が停電しても工場は稼働できる。

主な機器の文字記号

電気設備に用いられる機器の文字記号は、英文名の頭文字を大文字で列記するのを原則とするが、他と混同しやすい場合は、第2、第3文字まで用いられる。

主な機器の文字記号

*. VCT:電力需給用計器用変成器(Instrument Transformers for Metering Service)ともいう。

クレストファクタ

電圧または電流の最大値を実効値で除した値。

平均値指示の可動コイル形計器の指示に正弦波波高率を乗ずると実効値目盛りになる。

クレストファクタ

計器の用途記号

直流と交流の記号。

計器の用途記号

参考文献 『絵とき電気工事基礎百科早わかり(改訂2版)』 電気と工事編集部編/オーム社
『初めて学ぶ自家用電気技術者の実務と制御(改訂2版)』 大浜庄司著/オーム社
ここに示してあるものはすべて2010年12月現在のものになります。