大分県津久見市 古手川産業株式会社
エネルギー監視システムのデータ収集に採用された「くにまる®

今回は、大分県津久見市にある古手川産業株式会社を訪問し、工場のエネルギー監視システムのデータ収集用にご採用いただいた、920MHz帯マルチホップ無線機器くにまるについて、古手川産業株式会社の加茂様にお話を伺いました。

エムジー 本システム導入の経緯についてお聞かせください。


加茂様 古手川産業では、採掘した石灰石から生石灰や消石灰の製造をしています。従来は、工場内の各所に設置された電力メータ(72台)の値を現場で記録し、パソコンに入力して集計することで電力使用量や効率を把握していました。全てのデータを収集し集計するのに5時間ほどかかることから、月に1度の頻度で集計していました。しかし、月に1度の集計では、工場配管のエアや蒸気漏れなどのエネルギーロスをタイムリーに発見することができません。また、改善活動後の効果検証を行うにも、月毎のデータでは大きな変動以外は発見することが難しく、結果的にもう1か月様子を見ようとなることが多くありました。
そこで、社内で省エネのプロジェクトを進めることになり、データ収集の頻度を増すため既存の管理システムを使用してデータを自動収集・蓄積できる仕組みを構築することになりました。しかし、工場内は複雑に入り組んでいるため、新たに通信線を引くことは困難でした。そこで、有線ではなく無線を検討した結果、920MHz帯マルチホップ無線機器くにまるを採用することにしました。


エムジー システム構成についてお教えください。


加茂様 設置する子機の台数が多すぎるため、1台の親機だけで全ての子機とネットワークを構築するのは難しいと考え、親機を3台に分散して無線の通信経路を構築するようにしました。くにまるの通信プロトコルはオープンネットワークのModbus/TCPを使用しています。既設で使用している監視システムにもModbus/TCPの通信機能が搭載されていましたので、子機に入力した信号は親機とEthernetで接続して取込むことができます。
取込んでいる信号は電力・圧縮空気・燃料・流量などです。くにまるで直接信号を入力する以外にも、エムジーには入力する信号種別や入出力点数によってR3シリーズ、R7シリーズ、R9シリーズといったいろいろなリモートI/Oが用意されており、子機にModbus-RTUで接続して信号を取込むことができます。設置場所によって取込みたい信号が異なっていましたので、それぞれで最適な機種を選択できるのも良かったです。


エムジー くにまるを採用してのご感想をお聞かせください。


加茂様 工場内は、複雑に入り組んでいたり建屋が別々のところにあったりしましたが、くにまるの導入前試験を行ったところ、思った以上に電波が届くことがわかりました。また、機器の設定については、機器ごとに使用するコンフィギュレータソフトウェアがあり少し複雑でしたが、エムジーのセミナーを受講した後は自分たちでも設定することができました。運用開始当初は無線通信がなかなか安定しませんでしたが、エムジーにサポートしていただき、無事に運用できるようになりました。
システム一式を新たに導入することと比較して、既存の監視システムを活用することができたため、導入費用としてはイニシャルコストのみです。通信費用は無線のためランニングコストはかかっていません。機器だけを購入して自分たちでエンジニアリングを行ったので、大変安価に抑えることができました。


エムジー 本システムを運用されていかがですか?


加茂様 月に1度のデータ収集では大まかにしかわからなかった電力メータや流量センサなど合計約100点のエネルギー使用量のデータが、今はリアルタイムで監視画面に反映されるため、トレンド画面で変動傾向や波形の乱れなどの確認ができるようになりました。関連する複数のデータを一括で表示することで、エネルギーロスの発見や改善活動後の効果・検証がわかりやすくなりました。とくに燃料や空気量を変動させたときのエネルギー効率の変化がリアルタイムに見られるため、燃料効率の改善を進めることができました。
今まで使用していた監視システムに取込むことができたので、エネルギー使用量のデータを生産量や単価などと関連づけて金額や効率に換算し、集計することができたことに満足しています。時間、日、月、年ごとに「平均値」、「累積値」、「最大値」、「最小値」を集計してより詳しく表示できるようになりました。


エムジー 今後のご予定などをお聞かせください。


加茂様 今回の導入で工場内のエネルギー監視に必要なデータを取得する準備ができたので、まずは収集したデータの解析を行う予定です。その後、ほかに収集したいデータがでてきたときには、今回構築したくにまるの無線ネットワークを使用したいと考えています。


エネルギー監視システムのデータ収集に採用された「くにまる®」構成図

エムジー 本日はお忙しい中ありがとうございました。今後とも、エムジーをよろしくお願いいたします。



採用された製品のご紹介

  • 920MHz帯マルチホップ無線機器 くにまる® シリーズ
    ワイヤレスゲートウェイ

    形式 WL40EW2 RoHS10

    Modbus/TCP(Ethernet)、920MHz帯特定小電力無線機器くにまる用ゲートウェイです。
    形式 WL40EW2
    写真はルーフトップアンテナを装着
  • 920MHz帯マルチホップ無線機器 くにまる® シリーズ
    ワイヤレスゲートウェイ

    形式 WL40MW1 RoHS10

    Modbus-RTUの通信プロトコルを無線化してModbusのリモートI/Oと接続できます。
    形式 WL40MW1
    写真はルーフトップアンテナを装着
  • ワイヤレスゲートウェイ

    形式 IB10W3 RoHS10

    屋外使用を目的とした防塵・防水性IP67に対応しています。Modbus-RTUの通信プロトコルを無線化してModbusのリモートI/Oと接続できます。
    形式 IB10W3
  • 通信カード

    形式 R3-NW1 RoHS10

    920MHz帯特定小電力無線機器「くにまる」用通信カードです。電源・入出力カードと共に使用します。
    形式 R3-NW1
    写真はルーフトップアンテナを装着
  • 電力マルチユニット

    形式 R7MWTU RoHS10

    少チャネルコンパクト一体形の電力マルチユニットです。
    形式 R7MWTU
  • 電力マルチユニット

    形式 R9MWTU RoHS10

    多チャネル一体形の電力マルチユニットです。
    形式 R9MWTU
  • 電力マルチカード

    形式 R3-WTU RoHS

    多チャネル組合せ自由形の電力マルチカードです。
    形式  R3-WTU

古手川産業株式会社のご紹介

古手川産業株式会社古手川産業株式会社
石灰石

明治28年(1895年)の創業以来、安全・安価なアルカリ資源である石灰製品を幅広い産業分野に向けて提供することを通じて、いつの時代もその先にある人々の豊かな暮らしを支え、地域社会と共に成長してきました。国内最大級の石灰石鉱山を抱える大分県津久見市に本社を置き、生石灰や消石灰の製造・販売、軽質炭酸カルシウムの研究開発などを行っています。
石灰石という天然資源の恩恵を享受する企業として、その資源価値の最大化を追求することはもちろん、生産プロセスにおけるエネルギーの有効活用や、環境保護をはじめとする石灰製品の幅広い用途への提供を通じて持続可能な社会づくりにも貢献しています。

本システムについての照会先:
(株)エムジー
カスタマセンター システム技術グループ TEL:06-7525-8800