エムエスツデー 2007年11月号

PCレコーダの納入実例
No.26

電気料金の個別請求に使われたリモートI/Oと
PCレコーダソフトウェアMSRpro

 今回は、集合住宅において電気料金を個別請求するために採用されたシステムを2例ご紹介します。

 一般の戸建て住宅家庭では電力会社から個別に受電しているため、家屋の外壁に電力量計が設置されています。そして、毎月電力会社が検針して、料金を請求するシステムになっています。しかし、寮、福祉施設(老人ホーム)、借出し用研修施設など、複数の小規模ユーザーを収容した建物の場合、契約基本料金の節約などのため電力会社から建物管理者が一括受電し、個別のユーザーには建物管理者が電力を供給するとともに、電力会社に一括して電気料金を支払う方式が多くとられています。ここで問題になるのが、建物管理者が個別ユーザーに請求する電気料金です。当然各ユーザーに請求することになりますが、ユーザーによって電力使用量は様々なため、各ユーザーの電力使用量を把握する必要があります。

 まず福祉施設(老人ホーム)の採用事例についてご紹介します。この建物は福祉施設であるため、電磁調理器など火を使わないオール電化設備を備えていて、各部屋には単相200V、3線式の配線が施され、それぞれにブレーカボックスが備え付けられていたため、同ボックス内にCTクランプ式交流電流センサ 形式:CLSB-05を2個取り付けて使用電力を検出し、その信号線を管理室の配電盤の中にあるリモートI/O R3シリーズに接続しました。今回のケースでは管理する対象が30室あったため、リモートI/Oの入力カードは電力を4回路分測定できる電力入力カード(形式:R3-WT4Bを8枚使用しました。リモートI/Oのベースは2個必要でしたが、個別に30台の電力量計を取り付けた場合に比べればスペースは大幅に抑えられ、コンパクトになりました。

 Modbus/TCP(Ethernet)用通信カード(形式:R3-NE1を用い、管理室内に設置したパソコンとはEthernetで接続しました。また、パソコンにはサーバ/クライアント形PCレコーダソフトウェアMSRpro(形式:MSR2Kをインストールして電力量積算表示および差分積算した値を帳票(日報、月報)で印刷できるようにしました。また、異常警報用ベルも部屋ごとに設置されていましたが、電気の使用状況で居住者の異常を発見するのには、トレンド画面を作成するだけで済むというメリットがありました。

図1 福祉施設(老人ホーム)の採用事例

 第2の採用事例である研修施設の場合には、パルス信号を出力する電力計30台がすでに設置されていました。リモートI/O積算パルス入力カード(形式:R3-PA16によって16回路分の電力量が入力できるため、2枚のカードを使って30台分を入力しました。所要機器の合計費用はパソコンソフトウェアを含めて27.6万円という超安価であり、かつ機器寸法はW112×H135×D120 mmであるため、機器設置スペースが極めてコンパクトな自動検針システムが構築できました。

図2 研修施設の採用事例

MSRpro は、(株)エム・システム技研の登録商標です。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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