エムエスツデー 2007年10月号

PCレコーダの納入実例
No.25

真空蒸着装置の異常解析用に採用された
チャートレス記録計集中監視システム

  今回ご紹介するのは、光学レンズ製造会社から、製造工程に使用している真空蒸着装置で異常が発生したときのデータ解析を行いたいとのお話があり、実際にご採用いただいた事例です。

 従来は各真空蒸着装置にペン式記録計が設置されていて、通常時は測定データを現場でしか知ることができませんでした。しかし、新たに電子データ読み取りによって中央での監視も行いたいとのご要求があり、今回ご採用いただいたシステムはタッチパネル12.1インチ チャートレス記録計本体(形式:75ETとサーバ/クライアント形 PCレコーダソフトウェア MSRpro(エムエスアールプロ)(形式:MSR2K-V5によって構成されています。

 真空蒸着装置とは、真空容器の中で、蒸着材料を加熱・気化もしくは加熱・昇華させて、対象物品の表面に蒸着させ、薄膜を形成させる目的で使用する装置であり、この装置を使って製造する対象としては、光学薄膜(メガネやレンズの反射防止膜、特殊ミラーなど)、磁気テープ(オーディオテープ、ビデオテープなど)、ディスプレイ(プラズマディスプレイや有機EL、液晶ディスプレイ)の電極・半導体膜・絶縁膜、電子部品(抵抗、コンデンサ、半導体集積回路など)、食品包装材(スナック菓子などの袋に用いられているアルミ蒸着フィルムなど)、その他ファッション素材や建材などがあり、様々な分野に広く利用されています。

 この工場では、製造工程で数十台の真空蒸着装置を使用していて、従来は、それぞれにペン式記録計を設置してデータを収集していました。製品検査によって蒸着の欠陥が見つかった場合には、各装置のデータ解析を行っていますが、記録計が機械式であるため記録データの数に制約があり、必ずしも必要十分なデータが記録されず、改善が検討されていました。装置の盤面には、オペレータが現状をいつでも確認できるように記録計が必須であり、それとは別にすべての装置を PC にて効果的に一括監視したいとのご要求もあり、検討されていました。

 今回、各真空蒸着装置の盤面には、タッチパネル12.1インチ チャートレス記録計本体75ET)を設置しました。エム・システム技研のチャートレス記録計については、信号点数と画面サイズにより、いろいろな種類をラインアップしていますが、オペレータが確認しやすい大きい画面サイズのご希望がありましたので、ご採用品は 75ET になりました。入出力装置としては、リモートI/O R3シリーズを選定しました。現場側に 75ET を設置し、中央でもパソコンで監視したいとのご要望に対応するため、通信カードを2枚実装して、それぞれに接続できるようにしています。上位PC側のソフトウェアとしては、PCレコーダソフトウェア MSRproMSR2K-V5)を使用し、複数台の R3シリーズとの接続も実現しています(図1参照)。

図1 システム構成図

 この構成であれば、仮に現場側のチャートレス記録計ではデータ記録を省略しているものについても、PC側では漏れなくデータを収集しているため、データが欠落する恐れはなく、より効果的な運用ができるとご好評をいただいています。

MSRpro は、(株)エム・システム技研の登録商標です。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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