エムエスツデー 2005年11月号

製品別情報

リモートI/O R3シリーズを使用した
電力監視システムのご紹介

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 近年、省エネルギー対策への関心がますます高まっています。エム・システム技研では、このような状況に対応して省エネルギー管理の実現を目指し、パソコンによって電力監視を行うシステム機器および監視・記録用のソフトウェアを開発し、商品化しました。これらの商品をご利用いただければ、お客様が必要とされる電力監視に応じて最適なシステムを構成できるものと考えています。

 各機器の詳細な紹介は本誌の後続号にてご紹介して参ります。本稿では、電力監視システムの構成に各機器がどのように役立つかをリモートI/O R3シリーズの電力関連入力カードと監視用ソフトウェア MSRproおよび電力監視用ソフトウェアMSRecoを中心にご説明します。

1.電力監視システムの機器構成

 リモートI/O R3シリーズの電力関連入力カードを使用して構成した、電力監視システムの一例を図1に示します。クランプ式交流電流センサ(形式:CLS□)注1)からの信号をR3シリーズ電力関連入力カードを介してリアルタイムに監視画面に表示します。測定する信号に合わせてセンサとR3シリーズのカードを選択することにより、容易に電力監視を行うことができます。

 リモートI/O R3シリーズの電力関連入力カードとセンサおよび監視・記録用ソフトウェアの一覧を表1に示します。

表1 リモートI/O R3シリーズ電力関連製品一覧

        製品名称
形 式
仕 様
CT入力カード R3-CT4 CT入力、4回路
交流電流入力カード R3-CT4A クランプ式交流電流センサCLSA用、4回路
交流電流入力カード R3-CT4B クランプ式交流電流センサCLSB用、4回路
交流電流入力カード R3-CT8A クランプ式交流電流センサCLSA用、8回路
交流電流入力カード R3-CT8B クランプ式交流電流センサCLSB用、8回路
交流電圧入力カード R3-PT4 PT入力、4回路
電力入力カード R3-WT4 電力入力、4回路
電力入力カード R3-WT4A クランプ式交流電流センサCLSA用、4回路
電力入力カード R3-WT4B クランプ式交流電流センサCLSB用、4回路
高速パルス積算入力カード R3-PA4A 積算パルス入力、4チャネル
積算パルス入力カード R3-PA16 パルス入力、16チャネル
クランプ式交流電流センサ CLSA クランプ形センサ、リード線形
クランプ式交流電流センサ CLSB クランプ形センサ、ねじ端子台形
2048チャネル PCレコーダソフトウェアMSRpro MSR2K 監視・記録ソフト
電力監視用アドオンソフトウェア(MSReco) 電力監視用 監視・記録ソフト

(1)MSRproとMSReco
 MSRproはサーバ・クライアント形の監視・記録ソフトウェアです注2)

 MSRecoは、省エネルギー管理を目的としてMSRproにアドオンして動作する電力監視用ソフトウェアです。MSRecoがもっている電力監視機能は「2.監視機能」の項で紹介します。

(2)クランプ式交流電流センサ
 配電盤の配線に簡単に取り付けて電流を測定するセンサです。電力変換器と組み合わせて電力量を測定することができます。すでに設置されている配電盤などに取り付ける場合に、工事が容易である点が特長です注3)

(3)R3シリーズ電力入力カード
 リモートI/O R3シリーズには各種の電力入力変換カードが用意されています(表1をご参照ください)。

 R3シリーズ電力入力カードは、センサからの信号を受け取り電力・電流データに変換したのち、ネットワークを介してデジタル値で出力します。図1に示す電力監視システム構成例では、受電設備に設置された電力メータから出力されるパルス信号を高速パルス積算入力カード(形式:R3-PA4A)に取り込み、電力パルス積算値を算出します。

図1 電力監視システム構成図

 この電力パルス積算値は、電力監視用ソフトMSRecoの電力デマンド監視機能によりデマンドのデータとして処理され、電力デマンド監視画面に表示されます。

 図1に挙げた各系統別の使用電流は、クランプ式交流電流センサ(CLS□)によって測定され、クランプ式交流電流センサ用交流電流入力カード(形式:R3-CT4A)に取り込まれます。

 系統別の電力量は、クランプ式交流電流センサ用電力量入力カード(形式:R3-WT4A)を使用してR3シリーズに取り込みます。R3-WT4Aでは電流(CLS□の出力)と電圧(PTの2次電圧)を演算して電力量に変換し、出力をネットワークを介して送出します。

2.監視機能

(1)電力デマンド監視
 デマンド監視時間における使用電力量を監視する機能です。リモートI/O R3シリーズの高速パルス積算入力カード(R3-PA4A)によって演算した電力積算パルスデータを使用して、電力会社との契約電力の監視を行うことができます。デマンド監視時間単位で目標電力量に対する予想電力量を計算し、4段階の警報を発生します。デマンド監視時間単位で測定したデマンド量はファイルに保存され、他の監視時間のデマンド量と比較することができます。MSRecoに組み込まれている電力デマンド監視画面を図2に示します。現在のデマンド量および予測デマンド量を折れ線グラフで、また警報状態を警報文字列と色で表示します。

図2 電力デマンド監視画面

 契約電力、目標電力、警報設定値(4段階)、電力積算パルスの入力点指定などは別の設定画面を使って設定します。

(2)電力監視
 工場の製造ラインやビルのテナントなどの系統別使用電力量をバーグラフと折れ線グラフで表示します。電力監視画面の例を図3に示します。

 センサから入力されたデータは、リモートI/O R3シリーズ電力入力カード(R3-WT4A)によって積算電力量に変換されます。積算電力量はパソコンのファイルに保存されます。

 電力監視画面には、時限毎の電力使用量を演算して表示します。時限としては10分、15分、30分、1時間のいずれかを指定します。1画面に1グループ(8系統)の電力量を表示できます。

 測定した積算電力量は、グループ単位でハードディスクにファイルとして保存されます。

図3 電力監視画面

お わ り に

 リモートI/O R3シリーズは、各種センサからの信号を取り込み、オープンバスを介してPLCやパソコンへ容易に送出することができます。各種のプロセス、工場、ビルなどの現場において、一般の計測・制御信号を取り扱うとともに、R3シリーズの電力関連入力カードを追加することによって、エネルギー管理に必要な電力量監視を容易に実現することができます。R3シリーズの電力関連カードをシステムへ組み込み、省エネルギーの実現をぜひご検討ください。エム・システム技研は、電力監視をはじめとしてエネルギー管理のための各種入力機器および監視ソフトウェアの充実を図って参ります。どうぞご期待ください。

 

注1)CLSACLSBがあります。
注2)MSRproについては本誌2005年3月号4月号でご紹介しています。
注3)クランプ式センサについては本誌2005 年8月号でご紹介しています。


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