エムエスツデー 2005年1月号

遠隔監視のアプリケーション
No.5

Webロガーのアプリケーション
DoPa網を利用した水質の遠隔監視

 今回は、Webロガーのアプリケーションとして、上水道末端の給水栓水や高架水槽水などの水質を分析計で測定し、遠隔監視する例についてご紹介します。通信回線にはNTT DoCoMoの携帯電話網(DoPa網)を利用し、WebロガーとしてDoPa対応の機種(形式:TL2R2-S)を適用しています。

システム構成

図1 水質分析システム構成図 図1に、水質分析計とTL2R2-Sを中心にしたシステム構成例を示します。
 最近は、きわめてコンパクトなサイズ(前面がA4サイズ程度)で、試薬を使用せずに水質の多要素を自動的に分析できる、高機能な水質分析計が登場しています。ここでは、そのような分析計を適用し、色度、濁度、および残留塩素の3要素を測定する例を示します。

 TL2R2-Sは、分析計からの3要素の分析値をアナログ信号(DC1~5V)として、また分析計の各種運転ステータスや操作指令を接点入出力信号として取り込んでいます。
 DoPa網の通信端末機器(Mobile Ark)とTL2R2-SはRS-232-Cで直接接続されます(TL2R2-Sには、PPP 注1)変換機能が内蔵されているため、RS-232-Cラインにプロトコル変換器などを介在させる必要はありません)。

 また、本例のシステムでは、Web画面監視方式を採用しており、監視側のパソコンには特別なソフトウェアを搭載する必要はありません(標準装備のWebブラウザ画面 −インターネットエクスプローラ− を使用します)。

システムの機能

(1)分析値の監視:
 水質分析値をトレンドグラフ形式(図2参照、過去7日分まで遡って表示させることができます)や任意グラフィック画面形式(図3参照)で監視できます。
(2)分析値、分析計の事象監視:
 分析値の上下限異常発生や、分析計自体の運転・停止、異常発生などの事象の履歴を一覧で監視できます。
(3)帳票監視:
 収集した分析データを編集し、日報、月報の形式で監視できます。
(4)ファイル転送機能:
 上記(1)~(3)の各種監視に使用されるデータは、FTP 注2)機能によりCSV形式ファイルとしてパソコンに転送することができます。
(5)異常通報:
 分析値の上下限異常発生時や分析計が故障した場合などにEメールで自動通報します。

図2 トレンドグラフ表示画面図3 任意グラフィック表示画面

特  長

 本システムは、いずれもコンパクトで高機能な分析計とTL2R2-Sを組み合わせ、かつ通信にはDoPa網という無線媒体を使用しているために、設置・施工が容易であり、機動性に優れている点が大きな特長です。水質のテンポラリーな監視にも最適であり、最近話題を呼んでいるユビキタス計測システムのよい例ともいえます。
 なお、オルガノ(株)注3)殿では、本例に類似したシステム一式を各種ソリューションとして提供しています。デモサイトが公開 注4)されていますから、ご関心のある方はぜひご参照ください(図2図3)。

注1)Point to Point Protocol
注2)File Transfer Protocol
注3)ホームページ http://www.organo.co.jp/
注4)http://220.99.71.150/organoindex.html
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【(株)エム・システム技研 企画室】


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