エムエスツデー 2014年1月号

ごあいさつ

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

 明けましておめでとうございます。

 昨2013年は、自然災害の多い年であったように思います。記憶に新しいものだけでも、伊豆大島の豪雨による大規模な土石流災害、フィリピンのレイテ島で起きた巨大台風による風水害、そしてアメリカはオクラホマ州で起きた巨大竜巻による災害と続きました。
 一方、経済の面から見ますと、アメリカでは国家債務の上限問題で、一時、一部政府機関の機能が停止しました。日本では一般消費税の3%増税が決まり、また中国では、経済大発展の原動力であった輸出が減少に転じたと伝えられています。

 そのような背景の中で、私は昨年の10月23日に、日本能率協会主催の「2013計装制御技術会議」において、「ひとたび世に出した製品はいつまでも作りつづける」というテーマで40分間の講演をさせていただきました。
 これは私にとっては生涯の大事件でして、日本を代表する大手ユーザーの選ばれたキーマンの方々の前で講演をするのですから、大変緊張しました。時代が変わり構成部品が次々と変化してゆく中で、創業以来供給させていただいた製品を、同一形式、同一外形、同一仕様で作りつづけているというエム・システム技研が墨守してきた事実を、皆様の前でお話しして知っていただくチャンスをいただいたわけですから、私の経験値の全てを結集して、「これは本当だ」と納得していただけるようにしようと知恵を絞りました。与えられた時間は40分。ただ現実を並べてお話をするだけでは物語にならず、面白くないと思われるので、エム・システム技研というメーカーは、どのようにして「作りつづけるシステム」を構築しているかを、カタログ風の目を楽しませるような美しい印刷物にしてお配りし、それの主要な部分だけをご説明して、あとはどのようにしてこのポリシーにたどりつき、具体化していったかのプロセスについて物語風にお話するのが良いのではないかと思いつきました。
 早速社内のカスタマセンター、開発部、設計部、生産管理部、品質保証部、広報室の各部長に集合してもらい、総務部長には編集責任者になってもらって「2013計装制御技術会議講演資料」の編纂に取りかかりました。
 編集方針として
 ① 説明文は最小限にすること
 ② 作業の流れはフロー図にすること
 ③ 作業の内容はできるだけ解りやすいデータと数値とグラフで表現すること
 ④ 時代ごとに発生したトピックスはグラフの中に書き込むこと
 ⑤ 要所々々に現場の実物の写真を配置すること
などを掲げて作業を開始してもらいました。
 1か月の間毎週原稿を持ち寄って編集会議を行った結果、見事なものができあがりました。タイトルは、「作りつづける エム・システム技研」としました。これもエム・システム技研のホームページに早速載せることにしました。

カタログのご請求は資料請求またはホットライン(フリーダイヤル 0120-18-6321)までどうぞ!)

「作りつづける エム・システム技研」カタログ

 工業計器の世界は、この10年で空気が大きく変わったように思います。失われた20年の上に、リーマンショックまで経験した国内の産業界は、新しい設備投資が姿を消し、現在あるプラントの生産量を抑えて操業する企業が多く、工業計器の需要は既設計装システムのリプレースが大部分と感じられるようになりました。その結果、従来の工業計器メーカーは、需要が少なくなった機種から生産中止を始めるようになっているように思われます。
 3~4年前の出来事ですが、大手の工業計器メーカーの一社から自社のシングルループコントローラを生産中止されるに当たって、「同等品をエム・システム技研から発売してほしい」という申し出を受けました。ちょうどエム・システム技研では、美しいカラー液晶のタッチパネルを前面に出したシングルループコントローラの試作品が動き出していたこともあり、引き受けさせて欲しいと回答しました。その後、打ち合わせを進めた結果、同社特有の機能をすべて盛り込むことで合意し、現在のSC100/200シリーズの調節計として完成することになりました。もちろん完成品をテスト用にお買い上げいただき、各種テストをされた結果、その後同社のシングルループコントローラのリプレース需要に当てていただいております。この件はもう早いもので3年が経過し、軌道に乗り始めています。
 その後、バッチ機能付やブレンディング機能付のほか、断続パルス出力式のシングルループコントローラなどの開発のご依頼をいただきましたが、それらのうちすでに商品化を完了し出荷を始めている機種もあります。
 エム・システム技研は、プラグイン式変換器に始まり、工業計器としての機能部品の開発をすすめ、マルチ入力の変換器のようなオープンネットワークにつながるリモートI/Oや、デジタル式やアナログ式のパネルメータのほか、設定器やハイエンドのPIDコントローラまでをラインアップすることができました。これで、過去にどの工業計器メーカーがまとめた既設設備にリニューアル工事が発生しても、該当する工業計器の全てを取り揃えられるメーカーになれたのではないかと思いたいところです。

 最近、営業部門からのレポートに、エム・システム技研の工業計器のことを「汎用工業計器」と表現されているお客様が散見されるようになりました。これは、エム・システム技研の工業計器が従来の工業計器とは別物であるといっておられるのではないかと考えてみたのですが・・・。
 そこで、「汎用工業計器」が以前からあったのかと考えてみたところ、ありました。たとえば温調計やデジタルパネルメータがありました。多分この中にPLCも含まれるのではないかと思います。そしてエム・システム技研の工業計器は汎用?、ではその共通点は何だろうと考えてみました。
 従来の工業計器と呼ばれているものとの違いは
 ① 比較的安価で価格が公表されていること
 ② 入手が容易なこと(短納期で大抵の商社が扱っている)
 ③ 取扱が簡単なこと
 ④ どのメーカーの工業計器とも接続可能なこと
 ⑤ 機器単体で販売していること
などが挙げられるのではないかと思います。
 42年前にプラグイン式変換器のメーカーとして創業したエム・システム技研が、遂に汎用工業計器メーカーとして認められたのではないかと思います。

 さてこれからは、「今後エム・システム技研はどうあるべきか」をしっかりと考えてゆかねばなりません。汎用工業計器メーカーというイメージをいただいたからには、各種の装置メーカーの自動化用部品としてご採用いただく道を開拓する必要を強く感じます。各種機械装置には、温度、圧力を含むアナログ測定点があります。そしてそれらをリモートで自動監視する作業があります。そのために必要なものは何か? と考えてゆくうちに、それら諸元をWi-Fi電波に乗せて、スマートフォンやタブレットのように自由に持ち運びができるもので管理できるようにすれば便利だろうなと考えました。
 そこで思いついたのが、現場の測定値やステータス信号をWi-Fi電波に乗せて発信する、いわば「ワイヤレスデータトランスミッタ」ともいうべき「データマル® 」だったわけです。装置の測定諸元をワイヤレスで発信し、いつでも手元にあるスマートフォンに異常メールを届ける。そしてメールが来たら指先操作一つで、居ながらにして現場装置のデータやトレンドが見られる。便利ですよね。こうして私たちのまわりの通信環境が社会の省力化に大きく貢献するようになる。そのためのツールは、これも汎用工業計器ではないかと考えて、「データマル® 」の普及に努めてゆきたいと思います。
 すでに昨年の夏頃から、「データマル®のデモキット 」を用意して、全国にPRを始めております。販売店やユーザー様から、何とこのデモキットそのもののご注文をたくさんいただいております。今年は期待を込めて、「データマル® 」による遠隔監視の元年の年になって欲しいと願っております。
 どうそ、今後とも、エム・システム技研にご注目くださいますようお願い申しあげます。

伊勢大神楽=西日本を中心に全国各地を巡っている

(2014年1月)


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