変換器

エムエスツデー 1999年3月号

計装豆知識

ワイパーのないポテンショメータ、インダクポット印刷用PDFはこちら

図1 1回転形ポテンショメータ

回転形ポテンショメータは、取扱いが簡便で変換精度も優れているため、非常にポピュラーなアナログ角度センサの一つです。原理は簡単で、抵抗体とワイパー(ブラシ)を基本構成とし、両者の相対的な回転面を抵抗体上のワイパーの位置に置換え、抵抗値の変化量として取出します。したがって、抵抗体の両端間に定電圧を加えておけば、回転変位を電圧変化として出力させることができます。

固体と固体が摺動を繰り返すと磨耗が起こり、やがて摺動接触面にざらつきが生じ、摩耗粉がたまってきます。これが電気的な導通不良(俗にいうガリ)の原因になります。一般に巻線形抵抗体を使った場合は摺動数100万サイクル、導電性プラスチックの場合は1000万サイクルが、ポテンショメータの耐久性能といわれています。

たとえば、10秒間に1サイクルの摺動を繰り返すような使い方をすれば、4か月弱で100万サイクルを、3年3か月で1000万サイクルを突破する計算になります。メンテナンスの困難な機器や、ハンチングを伴いがちな制御機器に組込む場合には、当然もう1ランク上の耐久性能が要求されます。

これを実現するためには、なんといっても摺動接触する部分をなくすことが近道でしょう。そこで、磁気抵抗素子を使う方式や光学的方式による非接触ポテンショメータが開発され、製品化もされており、耐久性能は1億サイクルのオーダーに向上しました。しかし、計測性能的にはそれぞれに一長一短があって、決め手となるまでには至っていなかったというのが実状でした。

図2 インダクポット

ところで、ここにご紹介する製品は、エム・システム技研が開発し、インダクポットという商品名で発売している非接触ポテンショメータであり、これまでのものとはひと味もふた味も違うものです。インダクポットは、磁界の中でコイルを回転させた際に誘起される起電力を使って、回転角度を検出する画期的なアイデアに基づいたもので、温度ドリフトが小さい(±0.009%/℃)、直線性が良い(±0.5%以内)、出力スパンが大きい(レンジ2~3V)など、諸計測性能に優れており、形状もコンパクトであるという特長をもっています。耐久試験(現在も継続実施中ですが)によれば、回転往復動が3億サイクルを超しても諸性能にほとんど変化がないという良好な耐久性能を示しています。

エム・システム技研では、全電子式サーボアクチュエータシリーズで、今までポテンショメータを組込んでいた製品については、インダクポットに置き換えることにより信頼性の一層の向上を図っています。また、2線式ポジション発信器(形式:VOS2)にも、インダクポットを組込んでいます。ポテンショメータと同様に扱いやすく、しかも信頼性がより高いインダクポットのご使用をおすすめします。

インダクポットは、エム・システム技研の登録商標です。


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