エム・システム技研の
BAよもやま話

第8回(最終回) オープンBAに貢献するエム・システム技研BA製品

(株)エム・システム技研 顧問 富田 俊郎

はじめに

日本におけるBA市場のオープンシステム化は、海外と比較して多くの関係者の地道な努力にもかかわらず難航しました。OA(オフィスオートメーション)分野でのオープン化が広く普及した状況と比較すると、ビルのオープン化は設計、設置、保守の体制構築が立ちあがらず普及拡大は遅い立ちあがりとなりました。ビルのオープン化規格に準拠した製品は、2000年代初期ごろに多数出現したものの、その後はオープン化が難航したために、製品の継続的供給がビジネス採算に合わず、海外のオープン化製品を導入して何とか進めていたため、普及しませんでした。オープン化の普及を阻害する日本独特のクローズなBA市場が長く続きましたが、顧客からのライフサイクルコスト削減要求の高まりにより、従来のクローズシステムでは耐えられなくなり、2010年半ばになって、ようやくメジャープレーヤーもオープン化へ転換しはじめました。

日本BA市場のオープン化が遅れた状況とその要因

図1  日本のBA市場のオープン化の経緯

図1 日本のBA市場のオープン化の経緯

図2  オープンな世界市場と競争原理の働かない日本の市場

図2 オープンな世界市場と競争原理の働かない日本の市場

ビルにおけるオープン化は1990年頃からLONWORKSの発展と普及がけん引役となりはじまりました。とくに先進の開発業者であり市場のオピニオンリーダーでもあったデベロッパーの影響が大きく、その後、米国では1996年頃からBACnetの標準化が進み、とくに上位通信の標準化に大きく貢献しました。さらにネットワーク化された初期のインテリジェントビルからオープンなネットワーク上でのBAシステムがインターネット統合のシステムとして発展しました。しかしながら日本市場はメジャープレーヤーが設計から設置および保守までの実績から、顧客の信頼を得ていたため、オープン化はLONWORKSとBACnetによって牽引されたものの、依然としてクローズシステムが多くを占めていました。けれども、ビルオーナーからの省エネやトータルライフサイクルコスト削減に関する要求が次第に強くなり、競争原理の働かないクローズシステムを提供してきたメーカーもオープン化への転換をせざるを得ない状況となりました。こうしてようやく日本のBAのオープン化が本格的にはじまったのが2010年半ばのことです。この期間に日本のBA市場は、オープン化システムへの転換が海外と比較して10年ほど遅れをとりました。

コスト比較可能なオープン化製品がライフサイクルコストの低減に必須

図3  エム・システム技研のBAシステム製品の特長

図3 エム・システム技研のBAシステム製品の特長

一つの会社の製品で構成されるクローズシステムはコスト比較が難しい一方、オープン化された製品で構成されるシステムは複数のベンダーが参入できるため、コスト比較が可能となり、市場での適切な競争原理が働いて顧客にコスト低減の機会を提供します。
クローズなシステムとは監視システムと制御システムがメーカー固有で他社互換性のない製品で構成されるBAシステムです。導入初期はこれでも良いのですが、改修時に問題が発生します。コスト削減をしようとして他社の制御システムを既存の監視システムに接続しようとすると、拒否されたり保証できないといわれます。これはベンダーの囲込み戦略であり、広く製品を選択する機会を失っています。Windowsの更新などにより監視システムのみ更新したい場合も他社製品では無理とされ、同じベンダーのより新しいシリーズの監視システム導入を余儀なくされます。しかもコストはベンダーにいわれるがままとなります。ビルオーナーのライフサイクルコストの削減に貢献するBAオープンシステムは、これらを解決するアプローチの一つです。
そこでビル関係者がBAベンダーに期待される項目を図4に示します。これらは昔から現在に至るまで変わらない要求です。エム・システム技研は高い信頼性が必須のPA分野からのベンダーであり、高レベルでこれらを達成している、BA用オープン機器を提供する国産ベンダーです。

図4  BA製品に対する顧客要求

図4 BA製品に対する顧客要求

【コラム】顧客がBA製品に期待する項目

1.入手容易性:入手しやすい製品であること。

2.供給継続性:初期に導入した製品を廃型せず継続して供給。

3.価   格:価格比較ができ競争原理が働くこと。

4.即 納 性:故障時や不良交換要求に迅速に答えること。

5.品   質:FAレベルの稼働品質。

6.計装容易性:計装エンジニアリングが易しいこと。

7.故 障 対 応:不具合時の対応がしっかりしていること。

8.サ ポ ー ト:日本語での技術支援があること。

謝 辞
「BAよもやま話」として、第1回から第8回まで関心を寄せていただきありがとうございました。